今の絵、昔の絵

今の絵


昔の絵


今の絵(同サイズトリミング)



昔描いた絵のポストカードを額に入れて、アトリエに飾っていたのですが、2カ月ぐらい前になんとなく、
「この絵からはもう卒業だな」
と思って、額から外してしまうことにしました。
でも、どこにしまうか決められず、捨てる気にもなれず、「とりあえず」と適当にその辺に置いてたのですが、逆にチラチラ視界に入り、気になるようになりました。

その度に
「目のところ、もうちょっとちゃんと描いたらどうなるかな」
と気になるようになったんですが、とにかく急いで取り掛からなければならない作品があり、
「ん〜、気になる…でも今はダメ」
と言い聞かせて過ごしていました。
だけど今日は風邪で辛くてちゃんとした作品に向き合う気力がなく、試し描き程度ならできそうな気がしたので、思い切って描いてみることにしました。



昔の絵に引きずられないように、なるべく見ないようにして記憶を頼りに描きました。



結果、
「かわいい!すっごく良くなった!」とは思えませんが、
「随分と人間が丸くなったなぁ」と感じました。




元々この絵は、23〜4歳頃、辛くて辛くてたまらない頃に描いたもので、その、言うに言われぬ思いが滲み出ていて、私の分身のようでした。
そして、長い間絵も描けなくなっていた後、久しぶりに描けた絵で、私の原点のようでもありました。




そういう訳で、今見れば下手な絵でも、とても愛着のある、大切な絵なのです。



でも、今日じっくり見てたら、
「今まで、ただただ哀しい瞳だと思っていたけど、ちょっとつり上がって、世の中を斜めに見てたんだな」って気づきました。



あの頃は自分も許せない、人も許せないだったけど、いろんな人に、たくさんの愛情や思いやりをいただいて乗り越えて、今は、
「大分丸くなったなぁ。ちこっとは人間として成長できたんかなぁ」
と、絵を見比べながら思ったのでした。